時々、必要に迫られた食。


by mutsu-toru

vamos a comer 開設にあたって。

皆様、はじめまして。このたび、MUTSUとTORUが、「VAMOS A COMER」というブログを開設しました。スペインに住んでいる二人が発明、もしくは必要に迫られて生み出す料理を紹介するこのブログには「VAMOS A COMER」=「おい、食っちゃおうよ!!この野郎!!食っちゃおうよ!」というタイトルをつけました。

タイトルからもわかるように、「お腹空いたなぁ、何か食べたいなぁ、食っちゃおうかなぁ、おい、食っちゃおうよ、作っちゃおうよ!!」という我々が生きるために必要な栄養を補給するためのサイン(アラーム)によって作り出された料理をこのブログでは紹介していきます。

元はといえばこのブログを立ち上げることになったのは、MUTSUとTORUが二人だけで夕食を食べたことに起因します。

あの場面を再現するとこうなります。

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無口な二人がTORUの家の台所で、鶏腿肉をトマトソースで煮込んでいました。二人は特に何かを話すわけでもなく、コトコトと音を立てる鍋を見つめていました。その日、二人はチェルシー対バレンシアという欧州トップクラスのサッカーチームによる試合をテレビで見て、「やっぱり、トップクラスはすごいなぁ、本物はすごいなぁ」と心の中で何度も唱えていたので、鶏腿肉を煮込んでいることなど、どうでもいいやと口には出さずに思っていたのでした。

ところが、鶏腿肉に火が通り、TORUが何の気もなしに、「もうそろろいいかな、食べ頃かな」と言った時に、MUTSUが、「いや、もうちょっと煮込んでみようよ」とTORUの言葉を悪意なく遮ったので、二人の間に何か新鮮な驚きが生じました。それは、もしかするとトキメキのようなものだったのかもしれません。何故なら、二人はそれまで何かを料理しようという時に、こうしたらもっと美味しく食べられるのではないか、こうしたら美味しく見えるのではないかという人並みなことを考えたことがなかったからです。初めて体験するような事柄が、自分にとって有意義なものをもたらしてくれる、そう思った時に人間とはトキメキを感じるのかもしれません。


MUTSUが発した「ねえ、もっと煮込んでみようよ」という言葉は、二人にとっては革命的なものでした。かくして二人は鶏肉を4時間に渡って煮込みました。

その間、二人はサッカーのスペインU-20代表と日本U-20代表の圧倒的な力の差に互いに愕然としている会話や、「ねえ、なんでMUTSUは1980年代に親戚のおばちゃんの家に遊びに行った時に出てくるようなお菓子を”夜食”と言って二袋も買ったの?」ということについてボソボソと話していました。

4時間が過ぎ、二人がどちらからともなく「あ」と言って、鍋を開けた時、換気扇を「弱」にしていた台所にはやわらかくて甘い香りが漂いました。その香りは、鶏腿肉の内側の骨の髄までトマトソースが滲みこみ、逆に鶏肉の旨みが骨の隋からトマトソースの中に溶け出してしいるぞ、なんてこった!!ということを二人に告げました。

その香りはあまりにも心地よいものだったので、TORUは0,80EUROで買ったワインを「飲もう、飲もう」とMUTSUに持ちかけてしまい、3月分の領収書をその夜の間に整理し終えようと決意していたMUTSUは危うくその誘いに乗りそうになってしまいました。


かくして二人は鶏腿肉を食べることになりました。二人は「ねえ、ナイフ、いるかな?トマトソースはスプーンがあったほうが上手にすくえるよね、あ、チーズかけてみようよ」と互いに言い合いながら鶏腿肉を鍋からお皿によそいました。

さっきまでコトコトと音を立てていたトマトソースと、その中でじっとしていた鶏腿肉にチーズを一切れのせるとフワッと湯気が上がって艶(なまめ)かしい香りがサロンに漂いました。その香りを嗅いだ二人は、「うわ、うわ、旨そう、旨そう、わぁぁぁぁい」と言いながら鶏腿肉に齧り付きました。

ついさっきまで煮込んでいたお肉はとても熱く、二人は「あづっ」と悲鳴をあげました。しかし、あまりにもお肉が柔らかく、さらに噛り付いたその瞬間に何とも言えない旨みが口の中に広がったので、二人はその肉を口から離すことができませんでした。そして、二人は不思議なことにその一口目を齧り終えた後には、「チェルシーとバレンシアの試合はすごかったね、来週の第二戦目の取材に行くのが楽しみだね!!えへへ!!」と活き活きと話し始めたのでした。

お肉を食べ終わり、会話が一段落すると、二人は「ねえ、このお肉美味しかったね」とどちらからともなく、そしてさり気なく、言い合いました。何か重要なことを一緒に体験してしまったという照れくささと誇らしさがその場にはありました。それに気がついた二人は、またしても互いに「ねえ、こういう感動、残したいよね、ね、ね、ね、ね?」と言い合いました。

そして、このブログが開設されることになったのです。


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というわけで、今後、二人は以上のような感動を得た「食事」をする度にこのブログを更新していきます。


よろしくお願いします。


MUTSU TORU
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by mutsu-toru | 2007-04-05 13:32 | Toru